このところ少し減ってきて、久しぶりに3万人を切ったわが国の自殺者の数ですが、依然として1年間に3万人近くの人が自ら命を絶っているのです。世に不幸なことはたくさんありますが、自殺ほど不幸なことは他にありません。では人々は何が原因で自殺に至るのでしょうか。
もちろん不幸をはかなんで死を決意するのでしょうが、その不幸とはいったい何なんでしょうか。死を留まらせる手立てはなかったのでしょうか。ネットのあるデータによりますと、自殺の原因で最も多いのが健康問題です。次に多いのが経済問題で、第3位の家庭問題を大幅に上回っています。
この経済問題で自殺した人は2012年の1年間だけでも5219人もいます。1年前の2011年はさらに多く6406人もいました。経済問題とはつまりお金の問題です。お金の問題と言えばそのほとんどは借金問題であることは間違いないでしょう。つまり借金苦から逃れるための自殺なのです。
しかし1年間になぜこれだけ多くの人が借金苦が原因で死を選ばなければならないのでしょうか。死ぬほどの勇気があるのなら、生き残るための方法は他にいくらでもあるはずです。借金苦で死ぬということは、それが苦しくて仕方がなかったからに違いありません。
でも死ぬぐらいならなぜ自己破産の道を選ばなかったのでしょうか。それができなかったのは自己破産することが死ぬこと以上に勇気がいることだったに違いありません。でもなぜでしょうか。自己破産についての正しい知識はあったのでしょうか。ひょっとして自己破産について誤解していたのではないでしょうか。
つまり自己破産することは自殺するよりもっと恥ずかしいことだと思っていたのではないでしょうか。もしそうだとすると、自己破産についての啓蒙が足らなかったのです。つまり自己破産についての正しい知識をつけるための活動がなされていなかったのです。わが国では自己破産を悪のように決めつける風潮が一部にありますが、これも啓蒙不足が原因です。
借金苦による自殺を少しでも減らすためにいま行わなければいけないことは、「自己破産は悪いことではない」という自己破産についての正しい知識の普及ではないでしょうか。ちなみに米国の2010年の自己破産件数は153万件と、じつに日本の15倍です。人口比でも7倍強になります。これは自己破産についての啓蒙がよく進んでいるなによりの証拠なのではないでしょうか。
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